闇の山頂
大長山への笹薮の登り
大佐飛山と大長山の鞍部付近 那須連山方向
同じく大佐飛山
大佐飛山より大長山方向
大佐飛山の複数の山名板
展望無しの大佐飛山山頂
鴫内方向
登山口
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【日程】 11月3日 天候:晴れ
【山域】 大佐飛山地 大佐飛山
【ルート】 巻川林道新登山口より黒滝山経由で往復
【行動時間】 13時間50分 累積標高差約1620b
移動距離約18`
残雪期に歩かれる事が多いと聞く大佐飛山。前回、男鹿岳に行った時の藪の感触からすると、黒滝山から大佐飛山間の日帰りが可能な雰囲気があり、幸運に恵まれれば充実の山行を楽しめるかなと淡い期待感。ネットで調べてみると、確かに日帰りの記録が有るにはあるが… まっ、深い事は考えず、取り合えず出かけてみる事に。
2時40分、巻川林道の新登山口より出発。法面に架けられたアルミの梯子を登ってから歩き出す。夕方までには自宅に戻りたいのでスタート時間をもっと早くしたかったが、黒滝山から先が藪歩きになるので明るくなるのに時間を合わせた。黒滝山は初めてなので本来は百村登山口から登山道を辿るのが希望ではあるが、先の見えない行程でもあり、ショートカットのコース選択。
杉植林地の急勾配の登りが続く。次第に傾斜は緩むが、基本的に尾根に出るまでは急登。やがて百村山からの道と出合うと、尾根上は広く平坦な道のりとなる。緩急のある尾根道は良く整備されていて気持ち良く歩くことができる。頭上の木の上から大きな白い鳥が音も無く滑空して行った、フクロウか。
ライトを消して見上げると、澄み切った空には無数の星が輝き、星明りで森の中も意外と視界がきく。山名板の付いた幾つかのピークを越して行くと分岐があり、左に少し行くと黒滝山の山名板があった。5時10分、黒滝山。
睡眠不足もあり、この辺りでレスキューシートにくるまって仮眠の予定だったが、吹く風は冷たく歩き続ける事に。先程の分岐を左に折れて進んで行く。暫くは登山道の状態だが、次第に踏み跡程度になり、やがて笹の中に消えてしまう。残雪期のコースなので、ここまで踏み跡があっただけラッキーなのかも知れない。
西村山との鞍部付近を目指したが、笹薮に押される感じで少し下流側の沢へと降りた。流れの無い涸れ沢を鞍部方向へと辿り笹薮の薄そうな所から西村山方向へと取り付いてみる。点々とあるシラビソ沿いが藪も薄いが、最後は背丈程の笹原の中を漕ぐようになる。激藪では無いが、先の行程を考えると進行速度は遅く、目的達成も遠のく気分。
笹原の斜面を進んで尾根状になると笹の下に踏み跡が現れるが、獣道の雰囲気もある。あるいは互いに利用している可能性も高いと思う。朽ちたような目印のビニール紐を見て間もなく、木の上の方に山名板があり西村山と書かれていた。6時30分、西村山。
鞍部方向へと明瞭な尾根を下る。尾根の左側には踏み跡を拾う事が出来て、進行の速度も速くなる傾向。しかし、思ったよりも早く笹が現れてきて、再度笹薮を漕ぐようになる。樹林と笹で周囲の展望は悪いながら、時おりチラリと展望を得られる時もあるが山座同定の余裕はなし。
8時5分、大長山。距離的にはこの付近で中間位だが、まだ先は見えない。大長山からの展望も無いのだが、山名板だけはキッチリと樹上に付いている。踏み跡がある時もあるが、笹が出てくると無くなる。次の無名ピークからは山腹を巻くように踏み跡があり辿ってみるが、徐々に高度を下げているのが気になる。踏み跡を離れて尾根を目指すも、相変わらずの笹。突然、大きな鹿が軽快なジャンプを見せつつ深い笹原の中に消えて行った。
進行方向に灌木を見て、灌木藪をさける様に斜上する。その先に這松の群落があり、暫く山腹の笹原を漕いでから尾根に上がる。尾根には踏み跡があり、這ったり強引に突破したりしつつ尾根を進む。基本尾根通しが正解の様だ。この辺りからの展望が比較的良く、大左飛山や周囲の山々を確認できる。
左手に見える大佐飛山が大きい。実際の距離は遠くないはずだが、はるかに遠く感じる。風があり大汗は出ないのだが、藪のせいか喉は乾き、用意した水の減りも早くセーブモードに。進行は遅々としているが、藪に夢中になっていて気が付くと目標の小ピークが目前だったりする事もあり、時間の感覚に注意したい。ラッセルと同じで藪でハイな気分。ピークが近い雰囲気となって間もなく大佐飛山の山頂着、10時10分。
背の高い笹と樹林で展望は無いが、周囲だけ藪が刈り払われてスペースはある。しばしの休憩。遅めの到着予定時間よりは少しだけ早いので一安心。黒滝山まではトータルで少し下りになるが、疲れもあるのでこの先油断はできない。尾根を外さないように心掛けて往路を戻る事にして藪の中へ。12時30分、大長山。
13時40分、西村山。ここまで、疲れのせいか転倒が増える傾向、笹に絡まったり枯れ木に滑ったりと注意が必要。西村山からの下りはピークから落ちる谷筋方向を目指してみるが、樹林の影響等もあり上手く行かず、大分下ってから涸れ沢に降りた。目標とはズレがあるが涸れ沢を下る事に。何故か登り始めている事に気が付き改めてUターン。
くねくねと曲がる沢を気分良く下降。立ち木の上部にはテープが下がっていて、残雪期用の物かと見過ごす。地図からは沢が合流と判断していたが現れず、GPSをチェック。下りすぎたので、しばらく戻ってから斜面に取り付く。少しロスタイム。笹原を進んで行くとピンクのテープがあり、目印にして拾って行くが踏み跡は無い。やがて目印を見失い、コンパスを見ながら進行。
黒滝山は近い。赤布があり、山頂は上だと直進したのが勘違いの始まりだった。実際はぐるっと方向転換して逆方向に進み、ミスコースに気が付いたのは大分たってから。焦って遅れを挽回しようとと深い笹の急な斜面をGPS
の確認無しで下り、おかしいと思った時は大分下っていた。頭の中は疲れもあってか意味不明で霧の中。
重い溜息を一つ。全力で笹を漕いで元の地点を目指したせいか驚く程に早く復帰。そんな自画自賛の場合か。GPSとコンパスで良く確認。藪の薄い所で踏み跡を見逃したりと原因は複数あり、反省は後ほど。踏み跡に出合って間もなくで黒滝山の山頂着、15時。
希望時間より30分は遅れているので急ぎ登山道を下り出す。疲れもあるが休み無しで歩き下る。人間その気になれば結構力は残っているものだ。水は飲み干していて無いので喉がカラカラ。それにしても歩きやすい道のりで、割と新しい登山道の様です。尾根と別れて急な坂道を下って行くと自分の車が林間越しに見えてきた。16時30分、出発地点戻り。
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