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 2012年 山歩きの記録                        yamayama.s.
 10月7日 鹿島槍ガ岳より唐松岳へ         

登山客で賑わう冷池山荘

登山者であふれる南峰

人のいない北峰

鹿島槍北峰より南峰

北峰下より五竜岳方向 キレット小屋が見える

鹿島槍北壁

天狗ノ鼻下のカクネ里

八峰キレット小屋

北尾根の頭付近

雲が切れて五竜岳山頂が見えた

左下の五竜山荘は雲の中

【日程】 10月7日 天候:曇り
【山域】 鹿島槍ガ岳 (2889b)
【ルート】 大谷原→鹿島槍→五竜岳→唐松岳→八方スキー場
【行動時間】 13時間30分 八方スキー場黒菱平まで
        累積標高差約3130b 八方スキー場黒菱平
        移動距離約29` リフト利用除く

 以前より、大谷原から鹿島槍を経ての唐松岳往復を考えていた。日帰りは厳しいと思うが、前提として小屋泊まりやツェルトの利用は基本的に無しとし、日没後は休みたくなったら適地でごろ寝と考えていた。問題は天候であり、出かけようと思うと天候がやや不安定だったりして延び延びになっていた次第。

 時期的にはリミットな気配がする10月。今回も天候的に悪くは無い予報なのだが、3000b付近の朝方の気温予報は氷点下の模様。対応として、装備のほうも薄手のフリース等を追加すると重量が重くなり、行動時間に余裕を見なければならない悪循環傾向。

 大谷原の登山口より歩き出す、2時35分。連休のせいか、駐車場には10数台の駐車車両があった。大冷沢にかかる橋を渡り、西俣出合いへと林道を辿る。一時間ほどで北股本谷にかかる堰堤のトンネルを通過して登山道歩きとなる。暫く山腹を巻気味に移動してから尾根に取り付き、かつて北アルプス三大急登と言われた道の登りが始まる。

 道の整備状態は良好で、ジグが切ってあるので急な斜面を直登する所も無く、歩きやすい道のり。予定通りに往復する行程とすれば、累積の登りは概算で4500b程にもなるので、ペース配分を考えて抑え目な感じで進行。今回は水やシェラフカバー、薄手のフリース等を普段の日帰り装備に追加したので、20gのザックのファスナーが中々閉まらず、ウェストバックを追加してようやく収納。重量もやや重目。

 一回り大きいザックを持ってきた方が良かったと反省。急登も収まり高千穂平に出ると、名前通りで周囲の展望が開ける。月は流れる雲に隠れているが、山並みの黒いシルエットが浮かび雰囲気は判る。右手には鹿島槍から北俣本谷へと落ちる谷筋が白いのは残雪か。風は次第に冷たくなり、カッパ上を着ていても汗は出ない。気温は2度。

 稜線が近くなり、尾根から離れて急な斜面を横切って行くと稜線上の縦走路に出合う。冷乗越へと下って行くと、早くも小屋泊まりの団体さんがやって来た。冷池山荘、5時50分。ここまではまあまあのペースか。昨日、山頂は雪だったと登山者。カッパ下を着用したりと長めに休憩したら体が冷えてしまった。

 少し上のテン場はカラフルなテントで埋まっていた。小屋から空身で往復する登山者達を遠慮がちに抜いて行くのだが、これが山頂まで続くので歩くペースも乱れがち。先はまだまだ長い。布引山を通過する辺りから道脇にうっすらと雪が現れる。思ったよりも遠い感じで、双耳峰最高点の鹿島槍ガ岳の南峰着、7時10分。風とガスのあいにくの天候にも関わらず沢山の登山者で賑やか。証拠写真だけ撮って北峰へと進行。

 鹿島槍に来たのは随分と前の事なので、当然北峰へのコースなど覚えている訳もない。うっすらと雪を被った斜面は先行者も迷ったのか、部分的に判り難い箇所もある露岩の道。北峰へと向かう登山者は少ない。縦走路の分岐から少し登ると南峰のピークだった。南峰、7時35分。辺りは霧で真っ白で、間もなく下り始めると雲が切れて視界が広がり出した。再度山頂に戻り、写真を撮りながら流れる雲の中の展望を楽しむ。

 カクネ里へと落ちる北壁は、上から見ている分には滑降は可能な雰囲気だが、下から見た感じはそうは甘くは無いようです。キレット小屋の屋根が小さく見え、向かう五竜の山頂付近は見えないが主稜線は概ね確認できた。それにしても、もう数度気温が低ければ北峰に到達できたかどうか。大きなザックを背負った登山者達がキレットへと下って行くのが見える。

 日中の天候は回復傾向のはずだが、少し怪しげな雲行きだ。実はこれまで、唐松から鹿島槍間のコースは歩いて事が無かった、今回トレースすれば栂海新道含めて後立山の道を繋いだことになる。今更ながらではあるが。キレットへと下る道も意外と急峻で岩が多い道。先行するグループがいると追い越すタイミングも得られない。小柄な女性単独者はテン泊装備で頑張っている。唐松まで行くとか。

 核心と言われるキレット、しっかり道は作ってあるので通過には問題無い。しばらく行くと足下にキレット小屋の屋根が見えた。ここまでが意外と遠い印象。五竜から来たと思われる登山者とすれ違う様になって来た。八峰キレット小屋、8時30分。しばし休憩。東谷方面の谷筋の眺めを楽しみつつ、小屋の軒下で帰路のビバーク等も考慮。雨の心配が無ければ岩陰でも可能なのだが。

 相変わらず岩場が多く、鎖や梯子が出てくるので標高差の割には通過に時間が掛かる傾向。小広い鞍部には口ノ沢のコルと書かれた小さな標があった。最低鞍部とは言っても、この先も岩峰やギャップが続くので実感は薄い。頭上を飛ぶライチョウを含め何度かライチョウに遭遇。4羽の群れは間合いも短く付かず離れずで怖いもの知らずか。その名の通りで天候悪化のイメージがちらり。

 北尾根ノ頭にも標示あり。いよいよ五竜への最後の登り、データ的に大きな標高差では無くても意外と厳しい道。そう言えば地図にはG5(グラード)とかG2とかの表示があったっけ。標柱が立っていたので山頂かと思ったら分岐で山頂は更に奥。五竜岳山頂、11時10分

 一休みしてから下り出すと雲が切れて山頂が見え、下には五竜山荘が小さく見える。間もなく再度雲の中となり下り出す。どこがG2かG〇かは気が付かなかった。五竜山荘前は登山者で賑わっていたので素通りと思ったら、奥のトイレへと行ってしまいミスコース。ここまで想定タイムよりは少し遅れてはいるが、折り返し点の唐松で最終の判断をしたい。

 白岳の分岐を通過して最低鞍部への下りはハイ松に囲まれて普通に歩ける道。天候は霧雨から次第に雨脚が強くなる傾向。鞍部を通過するとまた岩場のコースとなり、スリップに注意しながら鎖場を通過。岩稜の乗越部では中高年のグループがセミになっていて暫く待機。譲り合いが基本でも、早くしてくれょ。 北アに限らず最近は若い女性を含めた登山者が多く、中にはファッションモデルのような方もいて見て楽しい気分。まさかキツネでは無いと思うのだが

 雨と岩場の連続で疲労感が強い。唐松岳山荘まで来たら雨は上がっていた。山頂までは間もなくの距離。唐松岳山頂、13時50分。予定より1時間弱遅れているが、腰を下ろしてしばし休憩。雨の中、岩場を越えてのキレット小屋までの復路は概算1100bの登りが待っている。体験的に気温が5度以下でビバークの場合、体温が一旦下がってしまうと上げるのは難題で、濡れた着衣はさらに体温を下げる。行動中に水とエネルギーの補給をして即刻ビバーク体勢に入るなど、悲壮感が漂う。

 気も乗らないので八方スキー場側にエスケープする事にする。白馬駅から大町まで電車があるし、登山口までタクシーも走る。そうと決まればさっさと下ろう。テントや小屋を利用しない軽装ならではの弱点が出てしまい残念、唐松岳まで歩いた達成感は希薄。八方尾根は道の整備が行き届いていて実に歩きやすく、ハイキングコースと言った雰囲気。女性や子供が多く今頃の時間帯でも登って来る人は多い。

 一旦青空が見えたが、また雨模様になってしまい八方池の辺りでは結構な降りに。石を敷き詰めた道が長いが、蛇文石が多い様で濡れて良く滑る。中には身動きのできないハイカーも。足の置き場に注意して歩く。スキー場のエリアに入る。八方池山荘近くの上部リフトは使わずにゴンドラ乗り場へと歩いて向かうも効率の悪い道の横をスイスイと下るクワッドリフト。16時5分、黒菱平。次のリフト乗り場でリフトに乗車して兎平へと下りゴンドラ乗り場へと。下りのリフトもゴンドラも初めてであり新鮮な気分。料金は降り場で支払、意外と低料金。バス停から駅までは歩ける距離なので歩いた。振り返ると八方尾根は雲の中。白馬駅、17時







口ノ沢コル付近で