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 2009年 山スキーの記録                       yamayama.s.
 3月19日 駒ヶ岳と大津岐山 

燧ヶ岳の下に目指す大津岐山が見える

1996小ピークは雪庇側から巻いた

大津岐山北西尾根より奥只見湖方向

尾根下部より大津岐ダム

赤柴沢1000b地点

駒の頭が見える 上ノ沢源流の斜面

斜面は沢筋へと収斂する

上ノ沢二股下1360b付近

 以前から、駒ヶ岳から大杉岳方面にかけてのの尾根と沢が気になってはいたが、いざ出かけるとなると、駒から三岩岳方面の魅力的な白い斜面へと足が向いてしまっていた。今回は駒から富士見林道を辿り、大津岐山北西尾根から赤柴沢往復で考えてみたが、なかなか考えたようには行かないのが山スキーであったりする。

【日程】 3月19日 天候晴れ
【山域】 大津岐山 (1944b)
【ルート】 駐車場→駒ノ小屋下→大津岐山→赤柴沢
      大津岐山→上ノ沢→戻り
【装備】 板:TRABアエロ180+ダイナフィットTLTcomfort
       靴:スカルパF1
【データ】 滑降高度約2500b
       行動時間11時間25分 移動距離約24`

 実のところは、小立岩から窓明山と坪入山周辺の周回ツアーを考えていたが、取り付きでの少ない積雪と固雪の長い林道歩きに予定を変更して、大津岐山を目指す事にしたのでした。出発時間が遅いのに加えて小立岩でモタモタしていた事もあり、駒の駐車場に着いたのは遅めな時間となってしまった。

 7時、駐車場より出発。駒ヶ岳の登山口よりシール歩行を開始。多数のツボとスキーのトレースが凍み固まり歩きにくい道形を進行。いつもの山板をワキシングに出していたのを忘れていて、今回は細め板での山行。久し振りの細板はクロカン用のように細く頼りない感じ。モヘアのシールの抵抗が気になるので、後でワックスでも塗ってみよう。

 通常のコース取りで沢を詰めて小尾根に上がる。同じTLTでも普通にクライムサポートを使いたくなる本日の細板セット、何故でしょう。気温が高いのでアウターを脱いでみるが、それでも汗は止まらない。尾根が合わさるアンテナ付近まで来ると雪も緩んでくる。今朝のものと思われる二組のスキーのシュプールがあった。

 時間も気になるので少し早めなペースを心がけるが、気温と強い陽射しには参る。雪面は黄砂に汚れていた。森林限界を越すと、これから向かう大津岐山方面の展望が得られる。思ったより遠い印象。一応往路を戻る積りなので、時間が有れば駒の山頂を踏むつもりではいる。駒ノ小屋からはシールを外し、滑走しつつ大津岐山へと向かう予定でいたが、尾根の状態は宜しく無いのでシールで通す事にする。

 9時55分、尾根の合わさる付近2030bから斜面をトラバースして夏道のある尾根へと移動。カワゴイワ沢源流部の大斜面に心惹かれる。大津岐山への尾根は雪庇がありうねっている。1996小ピークの辺りがチト嫌な感じ。キノコ気味の雪庇を越したりして行く。小ピークはまともには越せそうも無いので、雪庇側から巻くことにする。

 雪庇の上で気合を入れ、弱点から斜面へ。上からは見えなかったが、雪庇の下には長い亀裂が走っていた。少し戻り亀裂の下に出てトラバース開始、雪はグサグサ。頭上のハングした雪庇が見事。安定はしているようだが、雪玉が絶え間なくポロポロと落ちてくる。斜面の幾つかのうねりを越してから尾根上を目指してみるも、深い亀裂が隠れていて断念。トラバースを続けるとやがて雪庇が無くなり、簡単に尾根に戻る事ができた。

 後は広く快適な尾根歩きとなるが、大津岐山は思ったよりも遠い。後で地図を見たら、駒ノ小屋と大津岐山間のコースタイムが1時間20分とか。どこが山頂か判らない大津岐山を通過して尾根側に少し進み適当な所で滑降の準備、11時5分。雪原状の小広い尾根が樹林の中に緩く落ちている。沢へと落ちる駒の西斜面を眺め、周囲の展望を楽しむが、先の行程を考えるとユックリもしては居られない。帰路は今来た尾根を戻るよりは沢コースだろう。コース変更

 変化のある尾根筋はカニ歩きと推進を交えての下降となり、その分時間はかかる。大沢岐沢へと落ちる白い斜面の方が面白そう。尾根の雪は重い湿雪で、テールが雪に沈む細板でのターンは疲れる。1700b下からは一定に落ちる尾根となり、ブナ林が交じり出すと雰囲気は良い。樹林越しに大津岐ダムが次第に大きく見えてくる。

 登り返しを考えつつ、なるべく緩い斜面を探しながら下るが、この辺の沢筋に緩い斜面など有るはずも無い。赤柴沢の1000b左岸で滑降を終える、12時。喉が渇いたので水際へと降りて見る。丁度良いポイントがあった。冷たい沢の水を飲み顔を洗ってスッキリ。暫らくゆっくりする事に。日溜まりでは気温は20度を越している。

 シールで登り返す。湿ったグサグサ雪のラッセルで、急な小尾根の登りは効率が悪く体力を消耗、時間200bのペースに届かない。尾根に乗るといくらかペースも上がるが、基本的には遅め。シールにダンゴが着いたら取れたりの繰り返しで足取りが重い。ワックスを塗るがシールの表面は濡れて凍っているので効果は薄い。

 沢からの脱出に消耗したのか、太腿筋は既に限界に近く、休みを挟みながら騙し騙し歩く。肉離れの様な症状は今までに余り経験が無く、歳のせいか運動不足のせいか、食い物のせいか、頭痛もするし体調は全体に良く無い傾向。ようやく大津岐山を通過して、上ノ沢へのエントリーポイントへと移動。15時50分、尾根1910b地点より滑り込んでみる。

 日陰となった斜面の雪は板を取られるので、大きなターンでユックリと下降。太目な板なら連続ターンで下れそうだが、そうは行かない。小尾根に乗って見るも同じような感じ。沢は屈曲し、合流を繰り返しながら下っている。上ノ沢1380b二俣に出合うと早くも水流が現れた、楽をして沢通しに下って見ようとも考えたがこの案は却下。バッタリと出会ったテンが慌てて雪の亀裂の中に隠れた、可愛い。

 16時20分、上ノ沢1360b付近。ピク付く太腿筋に不安は有るが、ツアーコースのある尾根を目指して見ることにする。400b程の登りだが、ゆっくりペースと小休止を心がけてみる。取り付きの斜面は雪質もあり、やはりきつい。下枝が無くなり傾斜が緩んでくると歩きやすくなるが、ペースはゆっくりゆっくり。上ノ沢右岸尾根を辿って檜枝岐町内に降りる事もできたな、等とも考える。キリンテ側に降りるとか

 17時40分、尾根が合わさる1760b付近でシールを外して滑り出す。斜滑降で尾根に乗る。尾根上はシュプールだらけで後は迷う事も無い。湿った雪は柔らかくても板の操作には力がいるので、休み休み下降。ここまで来れば問題は無い。往路を戻る。日没で暗くなって来たので、最後は林道を辿り登山口へと降りた。後は板を担いで駐車場へと戻った、18時25分