横川右岸尾根より不忘山,出戸天神沢と大若沢
横川右岸尾根1269P 奥には吾妻連峰
蔵王を眺めながらの天国的な尾根歩き
横川堰の上辺り 番城山へと続く県境稜線
杉ヶ峰方向
辿ってきた横川右岸尾根
刈田岳よりの熊野と御釜 定番
|
|
芝草平 |
天神沢二俣近く |
天神沢の支流を下る
|
07年に、金山峠から蔵王を目指した時に時間不足で船引山で引き返した事があり、次回は違うアプローチで蔵王山を目指してみたいと考えていた。予定として、林道から高千森山を経て県境稜線を目指し、熊野岳山頂を踏む、さらに主稜線を不忘山へと移動して戻る周回の計画。気になるのは、基点となる上の平周辺と硯石登山口の積雪で、この辺りは標高が低いせいか意外と積雪は少ないようで、適期は短い印象がある。
【日程】 2月22日 天候晴れ
【山域】 刈田岳 (1758b)
【ルート】 上の平→船引山→刈田岳→上の平 【装備】 板:BDリリック163 金具:TLTスピード 靴:TLT4PROツアーライトテック
【データ】 登高高度約1258b (単純)
行動時間13時間45分 移動距離約37.5`
予定より一時間ほど遅れて上の平に着く。周辺の積雪や道路状況をチェックしてから吉沼橋の近くの空きスペースに車を停めて出発の準備。6時5分、歩き出す。林道の入り口まで僅かに歩き、林道からシール歩行を開始。積雪は20a以下で、林の中は更に少なく暫らくは林道を忠実に辿るしか無いようだ。尾根へのルート取りはショートカットを前提にしてきたのだが。誤算
締まった雪の上に新雪が薄く積もり歩きやすい。気温は−8度でも風が無いので暑い、薄手のフリースを脱いでみる。7時40分、蛤山からの林道が合わさる所から林道と別れて尾根上を目指してみる。始めは緩い雪堤もあり歩き易かったが、平坦な尾根に出ると藪気味となる。この先は横川右岸尾根を辿り県境稜線を目指す予定だが、藪尾根を考えると林道を辿り続けた方が効率が良かったかもしれない。
さらに行くと広い尾根には巨木のブナ林が広がるが、意外と下枝が煩く、尾根上はあまり見ない複雑な地形を見せる。右岸尾根の最高点となる1269Pに出ると一気に展望が広がる。吾妻連峰から番城山、ニッ森に目の前の蔵王と眺めは良い。この先、県境までは緩いアップダウンを繰り返す広い尾根が続き、歩くスキーに最適な尾根歩きを楽しめるエリア。ここで引き返しても満足度は高いと思う。
10時40分、県境稜線と合流。見覚えのある幾つかの緩い小ピークを越して行くと船引峠に出て、一休み。日溜まりだと気温は8度を越している。湿雪が重く、板の上には雪が付いてしまい重い。シールにもダンゴが着くが防水スプレーが効いているせいか、とれたり着いたりの繰り返し。足取りはかなり重い。割れ目のある横川堰を越して一登りすると平坦な雪原状に出る。スキー場のBGMが聞こえるとドキリ、幻聴のような。
|
|
船引峠 |
横川堰 |
緩い登りが続き中々高度を上げられない。時間的には熊野岳は無理があるので、刈田岳から不忘を目指して見る事に。刈田岳の神社は見える、標高差の割には遠く感じる山頂。屏風岳方面の稜線は雪煙が見え、風が強そうだ。気になる。樹林帯を抜けるとまた緩い雪原が広がっていた。登りのトレースと合流、ラッセルは無くてもトレース上はいくらか歩きやすい。風がさらに強くなる。山頂方向から三人のスキーヤーがゆっくりと下ってきた。次第に上空の雲が厚くなってくる傾向 最悪は稜線で風雪につかまる可能性も
ガリガリの斜面を西風に押されながら山頂へ。14時5分、刈田岳山頂。これ以上風が強くなると行動できない感じ。写真だけ撮ってすぐ下るも、固いバーンと風に下るペースは亀の歩み。避難小屋の下ではキャットスキー(ボード)の一団がいた。気楽に東斜面を滑るには悪くはないだろう。何台もの雪上車が連なって下って行った。シールを外す良い場所が無いし面倒なので暫らく下る。風と荒れた雪面に下るペースは悪い。気温は−4度。登山道入り口まで来るとシューのトレースが前山方向へと続いていた。
暫らくトレースを辿り、前山との鞍部から澄川方面へと下り気味に巻いてみるが、思ったようには行かないのが常。前山から落ちるU字状の沢には多数のシュプールがあった。幾つかの沢を越し、最後は諦めて澄川へと沢を下る。沢の雪質と傾斜が絶妙で良い雰囲気、快適なシール滑降を楽しめた。付近の沢筋は結構滑られている模様。広い澄川の沢床にもシュプールが多数。地元スキーヤーに人気のエリアなのでしょう。
芝草平を目指して沢を詰める。この先には問題がある、風が強いと不忘岳への板を担いでの尾根の登りがきついし、雪庇のある稜線歩きには不安がある。エスケープとして芝草平から不忘山林道へ下れば風から逃れられるし、日没後も林道に出れば問題は無い。鞍部に出る前に下降ルートを決めておく。15時35分、地吹雪の芝草平。気温は−9度。体が冷える前に樹林帯に逃げる事にして、空沢の左岸を下る。吹きさらしの雪原歩きが長い。
まだ風の吹き抜ける樹林の中に入り暫らくして、天神沢の支流に出合う。浅い沢形はシールでも快適に滑れるが、そうしている内にシールを外すタイミングを逃してしまう。この先ゆるい斜面となるし、万一の登り返しも考えるとシールでもいいかな、なんて。沢の中は浅い新雪もありシールは良く滑るし、スリリング。GPSで進路を小まめにチェックしながら天神沢左岸を下る。地図では廃道表記の登山道に沿う感じで。
林道へは最後に急な尾根を下るようになる。見た目はスキーで下れそうでも、林道でまたシールを貼る事や最後に藪になりそうな気配もあるので、板を片手にツボで下り出す。尾根を外すと大変な事になる。高差は200b程。スキーで滑れば快適そうな尾根を下降。最後に右手に降りて林道に出た、17時15分。尾根通しに降りて問題は無いし、スキーでもOKだろう。
不忘山林道、ここから硯石登山口までは一時間位かなと思っていたが甘かった。ほぼ水平に移動する単調な歩き。水もつき、喉の乾きに沢の水を汲んだりするが、板をはいたままでシールを濡らしたりする。道の雪が切れかけている所もあった。夜空を見ると杉林の先に小さなお月様が見える、月にしては少しへんだなとも思う。気にせず歩く。
2年目のauの携帯は電池が弱り、山では一日持たないので最近は電源を常時落としていて不便を感じている。急に携帯の事が気になり電源を入れてみたりする。ようやく硯石の登山口に着く、19時5分。吉沼のバス亭へと下る道には雪があったのでシールを外して滑ってみる。やはり滑るのは良い。民家前で除雪が入っていたので、後はスキーを片手に車道を歩くのみ。人通りの無い道を歩き下り、橋を渡ると出発地点だが、自分の車の前には不審な車が停まっていた。19時50分、出発地点戻り。
ライトを点けた白石署のパトカーだった。付近の住民から不審な車が二日間放置してあると110番通報があったそうで、パトカーが確認に来たとか。林道からも不審な車(パトカー)のライトは見えていたので一時間以上は待機していたのだろう。その間に、あちこちの親戚等に電話をしたようで、自宅に戻ると結構話が広がってしまっていた。簡単な事情聴取と本人確認でパトカーは去っていったが、どうも有りがた迷惑な事で。まっ、予定より大分遅れしまった事もあるし。まさかこんな所から山スキーなんて、一般の方は思いつかない。
|
|