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 2009年 山スキーの記録                       yamayama.s.
 2月2日 中吾妻と東吾妻 

東吾妻より前大巓と一切経方向

問題の1320b小ピーク

中吾妻から東大巓方向

中吾妻東斜面へのエントリーポイント

真っ白な斜面  振り返る↑

大倉川と烏帽子山

大倉川1470b付近 白くはなっているが

暫らく姥沢を辿ってみる

東吾妻のピークが見えてきた

東吾妻の南斜面1750b付近

 中吾妻と継森間の尾根上から谷地平へと落ちる斜面は快適な滑りを楽しめそうで、以前から気になる存在でした。条件として、登り返しは現実味が薄いので東吾妻へと抜けるライン取りで計画してみた。一番の目的は中吾妻からの滑降にあるが、通過には気になる箇所も幾つか浮んでくる。

【日程】 2月2日 天候:晴れ
【山域】 東吾妻山 (1974b)
【ルート】 蒲谷地→中吾妻→谷地平→東吾妻→蒲谷地
【装備】 板:BDリリック163 金具:TLTスピード
      靴:TLT4PROツアーライトテック
【データ】 滑降高度約2000b (シール下降も)
       行動時間10時間50分 移動距離約26`

 いつもの朝寝坊で出発時間は今回も遅れ気味、先が読めない部分もあるので中吾妻の通過タイムは12時をリミットとしてみた。蒲谷地に着くと良い駐車ポイントが無く、暫らく大倉川の橋の周りを行ったり来たり。除雪は終わり道幅もあるので路駐とする。風が冷たいので急いで準備を済ませる。気温は−8度、天候は晴れ間が見えてまずまず。

 7時15分、シールで歩き出す。ルートは大倉川から右岸の尾根を辿り中吾妻を通過、谷地平へと滑り降りて東吾妻のピークを踏む。後は蒲谷地へと戻る周回ルートの予定。昔、台風の大きな被害があった川のせいか堰堤が目立つが、通過に支障は無く右岸の道形を辿り順調に進行。尾根の斜面は切り立った岩場があったりして取り付く良いポイントは少ない。

 林道のゲートがある少し先から右岸の尾根上へと沢形を詰めてみる。雪は固いベースの上に浅く新雪が積もり、平地を歩くのには快適でも傾斜があるとシールが滑るので、緩い斜面を求めたライン取りとなってしまう。クトーは持参していない。結果予定よりも回り道をする感じで尾根に出る。暫らくはアップダウンが連続する尾根。尾根ルートとは言え、GPSがあってもコンパスを併用しないと方向を見誤るから注意です。視界は良くない

大倉川橋付近 1290b尾根付近

 ラッセルが無い分は楽なのですが、シールが後退するので登りの効率は悪く、急な部分では下ったり上ったり、カニ歩きを交えたりしながら小ピークを越して行く。雪崩地帯の急な斜面には大きくジグを切った道形が見える、林道が記載された地形図もあるようだが、スキー歩行にはリスクがあるだろう。

 9時30分、1320b小ポコの藪と急登に手こずり、小雪庇が張り出すピークの東側から巻きを試みる。回り込むと雪庇が鞍部の先へと連続して見える限り続いていた。板を脱いで雪庇に上がるか躊躇してから強引に雪庇下の急斜面を下るが、気が付くと雪面はエッジが効かない固い雪だった。行き詰まってしまった。後退すると唐突にエッジが抜けて5メートル程滑って灌木にぶつかり停止。苦しい体勢で板を外し、キックを蹴り込み、立木を利用して頭上の雪庇を越える。疲労感が湧き出てくる。

 後はツボでサクサクと鞍部まで降り、板を付ける。中吾妻で戻るようになるかも、と弱気な見通しがチラリ。この先は雪庇が発達しているので注意しながら越して行く。次第に尾根は広くなり緩いアップダウンが続き、テンポは良くなるはずだが妙に足取りが重く感じる。シールにダンゴでも付いたか。シラビソが交じりだすと雪は深くなりシールの効きも良くなってくるが、雪は湿り気味で重く感じる。時おり日が差す。林間は広く、自由なラインで登れる。

 12時5分、風が冷たい中吾妻山頂を通過。時間はすでにリミットだが谷地平へと滑り落ちて見る事に。白い滑降ラインを求めて尾根を少し下り、時間も無いので適当な所で滑降の準備。気温は−4度。緩い雪庇の上からのエントリーは気分最高。白い斜面は傾斜があり雪質も良い。軽いショートターンでホールラインに落ち、林間に入ってからは大倉川の上流を目指してライン取り。

 思ったより林間は広く雪質も良い。中斜面が良い感じで連続していた。どこ滑っても当りでしょうが、中吾妻ピークから落ちる谷筋の斜面が手頃な感じで白く続いていたのが印象的で、これは次回にでも。やがて緩い斜面に歩きと推進が入るようになると雪原に出て視界が広がる。烏帽子山が大きく見え、谷地平も確認できる。12時50分、ここでシールを装着してさらに上流へと移動。安全確実にブリッジを渡りたい思いがある。

 段丘から川岸に降りると安定したブリッジが目の前にあり、信じられない気分。対岸に渡り、暫らく下流へと左岸を下る。陽射しがあり、穏やかな流れの川岸。山の精霊たちの笑みが見えるよう。白くなった淵の手前で小さく高巻き支流の姥沢に出る。沢沿いに歩けるので沢形を辿る。13時30分、谷地平避難小屋を通過。気温は−9度だが風が無いので暖かい。
谷地平避難小屋 東吾妻のピーク

 姥沢は次第に谷が深くなり、穴が目立ち始めた辺りで左岸の斜面に取り付くが、思ったよりも急で手こずる。そう言えば昔、姥沢を下り谷が深くなった所で水流が出て、高巻いた事があったような。谷を抜け出すとだらだらの登りが長い。歩きやすい所をジグザグに歩き進む。樹林の背が低くなってくると風も強くなる。振り返ると谷地平が白く見える。

 中吾妻方向は相変わらず雲で見えないが、東大巓から東吾妻にかけての白い稜線の眺めは良い。早くも谷地平には日没が迫っている、絶好のシャッターチャンスがある様にも思うが、時間も無いし風も冷たい。先を急ぐべ。今回は北側から巻き気味にピークを目指してみた。直登ルートは灌木が濃いし。まあ、どちらも似たような物ですが。

 強風の東吾妻山頂を通過、15時30分。気温は−12度。先が読めないので林立するモンスターの間をシールのまま暫らく緩く下る。次第に林間が広くなると締まった雪もありシールの滑りは絶好調。1900bまで下ってからシールを剥がす事に。蒲谷地着はスムーズに行って日没位か。頼りない感じのするGPSポイントを頼りに滑り始める。浅い新雪が心地よく板の走りも良い。シラビソ帯を抜けると下枝が出始めるが、まだまだ快適。珍しくGPSとコンパスで進行方向をまめにチェック。

 平坦な1400b地点では歩きが入り、傾斜を求めて意識的にミスコース。その修正に意外と苦労する。雪が舞い始めた、気温は−11度。所々木の幹にはペンキマークがある。1340bで道形に出合い少し辿ってみるが判らなくなる。ここから唐松の林になり下枝も目立ち始める。次のポイント1000b地点へと尾根通しに下るが右手の沢が気になり沢床へと降りてみると水流があった。早めに対岸に渡ろうとして板のままで倒木ブリッジを際どく渡る、うまくいった。

 さらに下ると右岸の斜面が立ってきて下降を諦めるようになる。シールで尾根上を目指して見ることに。17時5分、シールで歩き出す。簡単に尾根に上がり、この緩く長い尾根を末端まで降りて見る事にするが、GPSでのルート作成時に沢を渡る前の尾根を忠実に下ると1000bで林道の終点に出る事をすっかり忘れていた。そうとは知らず、長い尾根をシールで下り、途中では支尾根に迷い込んだりする、修正。ライトを点灯。

 尾根の末端の藪気味斜面を降りると、丁度に除雪された立派な車道に出た、17時40分。30分以上の道草か。道はほぼ平坦なのでシールで歩くが、出発地点まではまだ結構ある。見上げると月が霞んで見える。ようやく駐車地点に戻り、18時5分