ニ本木山より長バナへと慎重に下るS氏
長バナより雷岳への登り出し
雷岳より振り返ってニ本木山方向
雷岳
右奥の桝取倉山へ
ヤンゲン峰から赤津山
藤十郎のピークの奥に飯豊の主稜線(北股岳)
御西岳と飯豊川
赤津山へと往路を戻る
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飯豊連峰のニ王子岳より赤津山を経て門内岳へと至る尾根、残雪期には比較的歩かれているルートと聞く。地図で確認してみると、スキーでは効率の悪い地形に感じる。歩いても、条件に恵まれれば門内小屋まで一日で達する事も可能な様にも思えるが。比較するデータが少ない事もあり、取り合えずテント一泊装備で、赤津山より先は行ける所までの計画で出かけてみた。
【日程】 4月18〜19日 天候:晴れ
【山域】 飯豊連峰 藤十郎山(1331b)
【ルート】 ニ王子神社より藤十郎山を往複
【GPSデータ】 移動距離約35` 行動時間約20時間
深夜に自宅を出て、ニ王子岳の登山口となるニ王子神社へと向かう。タイミングも遅く、コンビニへと食料を買いに寄ったら完売状態、しかたなく新発田市まで移動して買い物、何とも間が悪い。山道を進むと標高250b付近でデブリが道を塞ぎストップ、少し戻り駐車スペースに車を停めた。ゆっくりと装備をチェックしてから歩き出す、4時45分。
車道を少し歩き、参道入り口からニ王子神社へと進行。10分程歩くと神社に到着。雪の残る境内を通過し、夏道を辿りニ王子岳を目指す。杉の植林地からは残雪があり、明確な踏み跡を辿り迷う事も無く歩ける。気温が高い。沢筋から離れると雪も繋がり、快適に高度を上げる。雪は湿って柔らかい。
一王子小屋を通過すると、単独の先行者を確認。10分程の時間差だが、歩くペースは遅くも無く、この早い時間に不思議な感じ。森林限界を越すと先行者が風を避けて休んでいた。アイゼンを装着していたが、先が長いので軽く挨拶して先行。
標高の割には周囲の山並みは真っ白で積雪は豊富、スキー向きの斜面が広がる。尾根よりも沢筋だろう。ニ王子山頂には寄らず、夏道分岐付近よりニ本木山へと進行する、7時40分。風は一段と強い。緩いアップダウンの先にニ本木山はあるが目標はその先。
赤津山へと至る尾根の確認と写真撮りで止まっていたら、先程の単独の方が追いついてきた。目指す方向は同じの様だが、向こうは日帰り。長バナを目指し、早速広い斜面を慎重に降りていった。暫らくしてから後を追うが、平日にこんな所で人に会うとは思わなかった。
遠望は良くないが、赤津山やニっ峰も確認はできる。尾根の雪は部分的に切れているようだ。GPSで確認してから間もなく後を追う。広い斜面も次第に尾根が明確になり、下るにつれて尾根筋の雪も切れてくる。横に逃げたりしながら最低鞍部へ、8時45分。鞍部となる長バナで先行者と一休み。
話を聞くと、長者原からニ王子間縦走の偵察山行との事。地元の鹿瀬町のS氏で、残雪期の尾根歩きは経験豊富な感じ。お互い時間は限られているので、S氏をトップに間もなく歩き出す。
目前の雷岳も快適な斜面は長くは続かない、雪庇が崩れ割れ、藪が行く手をさえぎる様になる。先行のS氏とペースはそれ程変わらないが、ルート取りは確実で判断も早く、こちらは余計な事を考えなくて良いくらい。雷岳から桝取倉山間が今回の核心部か。ひたすらに、名も無き幾つもの小さい峰大きい峰と越して行く。
久し振りの登山靴での山歩きに足の筋肉もバテ気味、トレーニング不足もある。桝取倉山山頂、10時15分。振り返るニ王子山が高く、赤津山はいまだ遠い。時間の割には進行は予定よりかなり遅く、計画の変更が現実的な雰囲気。この辺で軽アイゼンを装着してみる。前日、残雪期用の靴にワンタッチアイゼンを合わせていたら、無理したせいかコバが剥がれてしまい緊急の代役、軽いのは良いが歩き難い。
標高の割には沢は深く山深い、主稜線を始め素晴らしい景色に写真撮りも忙しいが、先行のS氏はそれ程休まず前進。沢のデブリが少ない気もする。先を急ぎたいが、息が上がりバテ気味、あせってはいけません。尾根筋も穏やかな感じになり、ヤンゲン峰のピーク、11時40分。
先行のS氏が腰を降ろして休んでいた、ここで引き返すとの事。登山口までは日没まで間にあうだろう。氏に見送られて下り出す。赤津山までは比較的快適に移動、最後の急な登りが堪える。赤津山山頂、13時15分。
第一目標の赤津山まで来て一安心、一時は無理かとも思った。予定コースタイムは遅れているし、門内までは果たしてどうか。遠くに見えるニの峰を目指し広い尾根を歩き出す。万石平までは快適な雪原歩き。この先の藤十郎への尾根は狭くなり雪庇が崩れている、慎重に前進。問題は無いのだが時間が、気になる。
藤十郎山山頂、14時50分。ニの峰までは緩い尾根が連続していて悪い所は無い様に感じる。4時間以内で門内小屋に行ける気もするが、問題は明日の天気と桝取倉山周辺の尾根の通過、限界まで足を伸ばすと疲れた体ではリスクが大きい。長者原へと抜ければ一番だが、車の回収もある。携帯で天気図と予報を確認、低気圧と前線の接近が微妙。
残念だが、ここで引き返して良いポイントで幕営とする。それにしても展望は素晴らしい。大きく見える烏帽子山から大日岳、地神山へと続く主稜、振り返れば赤津山と二王子岳。おういんの尾根の先、深く切れ込む白い飯豊川には心奪われる。飯豊の秘宝を見る想い。
ゆっくりしてから往路を引き返す事にする。黄砂のせいか太陽が霞んで見える。16時30分、赤津山に戻り、鉄塔(避雷針?)のある隣のピークに寄ってから尾根を下り出す。途中で目を付けていた雪庇下のポイントは良く見ると泊まるにはヤバそう。更に下り、尾根の傾斜が落ちた付近、小さな雪庇が崩れた所を今夜の泊り場とする、17時。
灌木とピッケルでテントのアンカーを取れば安心。少し早い時間なのでゆっくりと支度をし、ワインでおいしい夕食。眠いです。深夜、雪崩れの音に何度か目を覚ます以外は静かな夜。夏用のシェラフでも暖かい、快適。朝、目を覚ますと風も無く穏やか、高曇り。出発準備
5時40分、歩き出す。朝から気温は高く、、昨日よりも雪はグサグサで歩き難い。時おり沢筋に雪崩れが発生。時間に余裕はあるので、急がずゆっくりペースで進行。8時40分、桝取倉山を通過。ゆっくりゆっくり。GPSで細かな巻きルート等を確認しながら進行。雷岳を通過、9時30分。
長バナまで下り、後は最後の400bの登り返しのみだが、筋肉痛の体にはチト辛い。稜線に上がると風が強いが、暑いので心地よい。気温は10度。ニ王子岳山頂、12時。ここでアイゼンを外して一休み。踏み跡だらけの下山路を下り出す。平日でも何人か登山者が登ってくる。
14時15分、ニ王子神社に着くと駐車場に車が停まっているが、道路が開通したのだろう。立派な大杉の目立つ参道を10分程歩き、出発地点へと戻った。
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