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 2004年 山スキーの記録
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 4月13日 磐梯山 東壁                          

 宝の山磐梯山。東面は急峻に切れ落ちてはいるが何本かの滑降ラインが浮かんでくる。なかでも山頂から沼の平へと一直線に落ちる直登ルンゼ(仮称です)は標高差が300M程だが滑降意欲をそそられるラインである。

 昨年、滑降を試みたが悪天候と山頂付近の弱層の存在により予定を変更して一本隣になる北側のルートを滑り降りたのでした。今年も条件的には恵まれませんでしたが再度チャレンジしてみました。

 【日程】 4月13日 天候:曇り 
 【山域】 磐梯山
 【ルート】 猪苗代スキー場→山頂を往複
 【マテリアル】 板:TRABシンテシ+ディアミール
          靴:ユルユルのTR9

 10時40分、営業を終了している猪苗代スキー場の作業道に車を止めて歩きはじめる。たっぷり塩を撒いてあるのか意外と残雪があるので早速シール登高を開始。上部ゲレンデからは雪がつながっていて順調に高度を稼げる。ゲレンデトップからは雪に埋まる登山道をたどり沼の平を目指すが藪が少々うるさい。

 山頂付近は雲がかかり滑降予定ルートの状況は不明。以前にふもとからルンゼを観察した時、山頂直下の中央に露岩帯があり、左右に逃げるライン取りを強いられ事は判っていた。今回は時期がかなり遅いことも有り条件は良くないと思われる。

 沼の平に出ると晴れ間が広がり、直登ルンゼの全容も把握することができた。雰囲気としては何とかなりそうに思われるが状況を見ながら取り付いてみる事にする。

 ルンゼ入り口の岩陰で登攀準備をする(オオゲサ)、装備は前回の障子ヶ岳と同じだがなぜかアイゼンが二つ?で止めにピッケルの忘れ物。ピック付きのストックとバイルのコンビネーションで登りだす、14時40分

 いきなりの急登と膝近くまで潜る雪質、ルンゼ全体が雪崩の走路で側壁からの雪崩も集中しているが現在は安定しているようだ。時々パラパラと雪の粒が落ちてくる以外は静かだ。赤茶けた側壁がいかにも脆そうなルンゼをスローペースで詰める。

 露岩帯が大きく見えてくるとルンゼも開けてくるがここまでは楽勝気分、傾斜は40度少々と言ったところか。真ん中の露岩帯は通過できないが左右のリッジに逃げられそうだ、左上のルートを選択。この辺りからガスが広がり視界が利かなくなってきた。

 最初の露岩を通過する辺りから傾斜が一段と増してくる、膝で三回雪を落としステップをけり込み力を込めて雪壁にパンチを二回打ち込む、この繰り返しだ。壁が体重を支えてくれる事を祈る。時々足場が崩れると冷や汗が出る。滑落して岩場に顔面制動は痛そうです。

 手袋の中は濡れてしまい次第に冷たくなってきた。傾斜は50度以上有りそうだがこの雪だとそれ以上に感じる。左に雪庇を確認すると傾斜が落ちる、上を見ると巨大な黒い壁がぼんやりと見えるがもう限界、降参です。

 山頂は近いはずだが。雪庇の下へトラバースして藪尾根へ這い上がる。20M程登ると見慣れた山頂に出た、16時。記念写真を撮ってさてどうしましょう。山頂からの完全滑降なら山頂から左に下ればルンゼの上部に出られるはずだが視界が無いのでヤバソウだ。結局は確実な往路を戻り雪庇の下で滑降準備。準備はOKで滑り出す、16時20分

 1ターンで最大斜度になり横滑りで下る。ここで失敗は出来ない、下には露岩帯が有るのでゆっくりと時間を掛けて下降を続けるが雪が重い。山側の手を雪面に付けてバランスを取る。S字を描くラインで露岩帯の下に出てからターンを開始、落差の大きいターンでどんどん高度を下げるがまだ油断はできないので慎重に慎重に。

 16時45分、ルンゼを抜けると大斜面が広がる、大回りのターンで飛ばし憂さ晴らし。赤埴の夏道はパスして沢に降りて登り返したが少し下り過ぎたのか藪に苦しめられ効率は良くなかった。17時50分出発地点に戻る。



 今回は一時視界が広がりルートを確認出来なければこのルンゼ滑降は叶わなかったでしょう。山頂からの完全滑降を逃したのは残念でしたが、自身は限られた条件で持てる力を出し切ったので悔いは有りません、それ以上の行動は破綻をきたすように思ってます。

 それにしても登りでの最大斜度の連続はビビリまくりでした、下りより怖かったですう。



    滑降の準備はOKッス

    沼の平から見た磐梯山東壁

左端が直登ルンゼと山頂、右奥が昨年の滑降ライン

    ルンゼの入り口

    中央に広がる露岩帯、ルートは左へ

  崩落した雪庇の下で前進を諦め左の藪尾根へ

    山頂です

    中間部で

    沼の平に戻る
 
5月の沼の平から見る東壁 今年と昨年の滑降ルート