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. ルート図
 2005年 山スキーの記録
yamayama.s.

 2月8日 吾妻連峰 大沢下り

梵天岩方向

中津川1580b付近

風雪の東大巓山頂

明月荘の出入り口を雪が塞いでいる

渋川の源頭へ

沢筋は中々快適

尾根に登り返すと渋川源頭方向が見えた

立岩の登山口近くの駐車スペースに出た


 雪質の良い時期の大沢下りと、周辺の沢筋の滑降をダブルで楽しもうと考え付いた。しかし、先週末の大量の降雪と視界不良に悩まされての迷走と結果は散々。少し甘く見てしまったかと反省しても後の祭りです。

【日程】 2月8日  天候:曇り 
【山域】 吾妻連峰 東大巓周辺と大沢下り
【ルート】 天元台→中津川源頭→東大巓→大沢下り→大沢
【装備】 K2ミニミー+ディアミール
     靴:TR12

 大沢駅近くの路上に車を停め、電車とバスを乗り継いで天元台スキー場へと向かう。天気予報では午後から雪との事だが現在は薄日が差している。それにしても平地でもかなりの積雪があり、少し多すぎるような気もチラリ。

 10時、リフト終点でシールを貼りスタート。期待とはウラハラに深いラッセルは無しで取り合えず順調。かもしか展望台の先でシールを剥がし、中津川源流部1580bを目標に滑り出す。付近は広い雪原状で海原をクルージングする様な雰囲気が心地よい。気温が高目で雪も深い、緩斜面では板が走らない。沢形を横切るのにも階段登高が入る。雪質は良いが緩い斜面の連続に長い歩き、下りなのに汗が出る。何時もと違う雪質に中津川の目標ポイントまでが遠い。

 11時35分、中津川1580b。条件の良い時のタイムより30分程余計にかかっている、大沢下りも最悪シール下りかな・・・イヤイヤそれはないでしょう。気温は0度と温かいのでユックリするが天候は下り坂の様です。

 シールを貼り東大巓を目指し登りだす。ダイタイの見当で滑って来たので現在地は確定してなかった、周囲の状況を見ながら登っていくが間違いは無さそうです。高度を上げると次第に風雪模様になってくる。ラッセルは深くないが快調な登高とは言えない、スローモーションな足の運び、疎らな原生林、天地の境も不明瞭なモノトーンな世界、冬の吾妻の宇宙に溶け込んでしまいそうな不思議な感覚。

 13時50分、平らな東大巓の山頂。予定では大滝沢源頭部で一本頂き、久蔵森近くの稜線に登り返すつもりだったが視界不良と雪庇崩落等の不安もあり、このまま大沢下りのルートに向かう事にする。シールのまま明月荘方向へとデコボコ斜面を歩くが、方向が定まらないジグザグ歩きには自信がない。暫らく適当に歩いていたら突然、明月荘が目の前に現れてビックリ。この天候では探しても見つかる物では無いでしょう.。

 現在位置が判り、コンパスを10度の方向に見て進行すれば渋川の源頭部に出るので漠然とした不安も消える。視界が無いのでここは谷筋に下るのがベストだろう。傾斜が出てきた辺りでシールを剥がし滑走開始。視界が悪いので飛ばせない、深雪と手頃な斜面もゆっくりターンで滑る。谷底に降りると推進滑降も入り、板が止まった所で再度シールを貼り、右の尾根を目指す。

 15時40分、ガスが切れて視界も良くなり、滑り心地の良さそうな斜面を発見、ここでシールを剥がして滑る事にする。 (もう一息登り足りなかった、誘惑に負けた) 砂盛の尾根を越したかったので右へ右へと目指し滑るが、地形が複雑、滑りは楽しめるのだが。少し歩いて小尾根を幾つか越すと、また霧で視界不良に。そろそろかなと、尾根通しに滑り下るが現在地は砂盛の尾根を越した辺りかな、多分。

 高度計と地図で現在地を調べるが?? 嫌な予感。とにかくこのまま下れば林道に出合うはず、尾根をはずさない様に下るがその内に沢に吸収される。この先には林道があると思い、部分的に60度近い沢の斜面を斜滑降で降りるが最後にはV字の沢床へ降ろされた。屈曲する谷の手前に大きな落ち込みがあり、10b程下の底には暗い淵が口を開けていた。側壁は急峻で、ストックを指すと抵抗無く埋没してしまう雪。通過するには命を懸けたギャンブルになるだろう。

 側壁を登るしか手は無さそう。板をザックにつけ左岸の雪壁に取り付くが新雪でフカフカの雪質、斜面に穴を掘るのみの行為。諦めずに抵抗の有りそうな所を探し、右に左に移動しながら全力でもがく。少しずつ高度を上げるが落ちたらやばそう、何とかするしかない。30b程の登りに小一時間もかかって小尾根に這い上がった。すぐにスキーを履いて条件の良さそうな場所にトラバースをかける。

 進路に迷うが取りあえず上を目指してみる。張り付きの限界を超えたシールに気合を入れるように板にくっけて登り出す。ガスが切れ、視界の良い場所から見渡すと林道の法面らしきものが見える。もしかしてと思いさらに高度を上げると見たことのある立岩の前に出た。砂盛の尾根は越したつもりが越してはいなかったのでした。

 17時10分、立岩。遅くなりそうなので自宅に電話を入れる。そうだこの携帯はGPS機能が付いていたのだ(F505i)。現在地を確認するとレベル3の精度で測定、現在地を完全に把握できた。普通ならこの付近からは林道沿いに滑走できるのだがこの積雪と視界、薄暮では大沢までシールになりそうだ。ヘッデンは今回に限り置いてきてるので灯りは無い。(下山後確認したら緊急袋の中に小型LEDが入っていた)

 薄い道形を拾い巡航速度一杯で飛ばす。すぐ近くに見える砂盛の尾根も幾つかの沢や尾根を巻きながら進むので結構遠い。途中、自身のシュプールを発見したが20b程林道を滑って尾根を下っていた、まったく気が付いていない、と言いますかわかりません。道形は無いと言って良いくらい埋もれていて、斜面と同化している。この先では歩いていても進路に迷う所も多く有った。

 時々GPS携帯で現在位置確認と、ライトで道を探りながら休憩なしで頑張る。シールの下りと足元が判らない事もあり余計な負担がかかるのか、足には靴擦れを作ってしまった。最後の頃になると体力は充分だったが、足の痛みは限界。ゴールは近い。最後まで迷走気味でしたが、駅の灯りが見えた時は正直「ホッ」としたのでした。

 20時20分、大沢駅。最後は、ディアミールUの流れ止めのバックルが凍り付いて外れず、変な格好で車まで歩くオオマケまで付いていました。

 現在、大沢駅の駐車スペースは雪に埋もれていて使用は不可でした。
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